【ノウハウ】輪行袋でも飛行機輪行


飛行機で輪行できれば、自宅から数時間で北海道のスタート地点へ。四国へ。九州へ。沖縄へ。
出来ます、ペラペラの輪行袋でも。

飛行機輪行に至るまでの経緯

学生時代、北海道に住んでいました。大学3年生の時に北海道を周り、それから自転車旅の魅力に取り憑かれてしまいました。それから、授業が無い長期休暇で、日本の沿岸部を断続的に周ろうと決意しました。

参考記事:
【自転車旅】むしゃむしゃ北海Do!(2010年 ママチャリ北海道一周旅の紹介)

しかし、北海道から南の中国、四国、九州地方へ移動するだけでも時間がかかってしまいます。自転車旅でよく利用していたフェリーですと、直行便で行ける最南が京都府の鶴舞、愛知県の名古屋港になってしまいます。

そこで、圧倒的に所要時間の短い飛行機で輪行出来れば、どんなに楽かと思い、それを実践して今に至るわけです。

飛行機輪行特有の注意点

どんな傷や破損があり得るのか

L-100、SL-100のようなペラッペラの輪行袋でも十分飛行機輪行できます。
ですが、それは自転車本体やパーツに傷がついたり、破損するリスクに繋がります。
というのは、到着した空港によって、輪行袋の扱いが異なるからです。
各航空会社の受付の人に丁寧に持ってこられる場合もあれば、作業員の人がアスファルトの上を何十メートルも引きずって持ってくる場合もあります。

引きずられて傷がつきやすい箇所は、シフトレバーやハンドル周り、フォーク先端、ブレーキ、リアディレイラー、ホイールのクイックリリースまわりになります。
シフトレバーは少し内側に曲がったりしますし、クイックリリースも多少曲がっていることがあります。ですが、シフトレバーは手で正しい位置に戻せますし、クイックリリースが曲がっていても、走行に問題ありません。

写真補足:角度が変わってしまったブレーキ。手で正しい位置に戻せる。

写真補足:クイックリリースが取れてしまった。輪行袋の中にクイックリリースが転がっていた。こういうことはよくある。

写真補足:シフトレバーが引きずられて傷つくのを防ぐため、メンテナンス用のグローブを被せている

もしくは、ターンテーブルの上に載せられて、色んな箇所をぶつけながら流れてくる場合もあります。

自転車の素材によっても強度が異なります。
僕の自転車フレームはクローム・モリブデン鋼で出来ているので、塗装面が剥げるだけで済んでいるのかもしれません。
カーボン素材の自転車だと、飛行機輪行でサドルやフォークがポッキリ折れてしまった、という体験談をネットで見たことがあります。

これらの事が発生するので、何かしらの対策を取って、破損してしまうリスクを抑えていく必要があります。
かといって、ガチガチに保護するなどの対策を取るのには梱包材が多く必要になり、旅行先でそれらの梱包材を捨てたり、復路の便でまた入手したりする手間がかかってしまいます。
分厚い輪行袋を使用した場合、旅の最初から最後まで、かさばる輪行袋を荷物の中に入れて走行し続けなければなりません。
ですので、対策の容易さと、どれくらいまでのリスクが許容できるかを天秤にかけて考えましょう。

ちなみに僕は、自転車はただの移動するための道具と捉えて、走行に問題なければ良しとしています。
もちろん自転車本体に傷がついていたら悲しみはしますが、空港で自転車を組み直して問題なくブレーキが効き、問題なく変速できればそのまま次の目的地に向かってしまう。そんな心構えです。
逆に、ホイールのスポークが破断していたり、ディレイラーが壊れてしまったり、ブレーキ・シフターケーブルが破断していたりすると、走行に問題が出ることになってしまいます。
そうした破損があった場合は、近くに自転車屋が無ければ、そこで旅行を中断する気持ちでいます(今までそうなったことは無いです)。

輪行の方法

以下に記載するのは僕が実際にやっている方法です。
僕の現状の最適解ですが、またどんどん変わるかもしれませんし、皆さんの中で「もっとこうした方がやりやすいのでは?」といった案があったらお教えください。

エンド金具を付ける

エンド金具はリアディレイラー側、フォーク側の両方に付けています。
リアディレイラー側 は輪行する際に絶対付けると思います。
フォーク側に取り付けているのは、フォークは弱い構造になっているため、上に荷物が置かれた場合容易に曲がってしまう事が予想されるからです。

ホイールをラバーバンドでしっかり固定する

ホイールの固定にラバーバンドを使うことで、ナイロン製の平紐よりもしっかり固定できるようになりました(上の写真では、赤と赤茶色のバンドが1本ずつ使用されています。)。
本来はスキー板を固定しておくためのラバーバンドですが、こういった場面でも役に立ちます。

参考リンク:
G3 Tension Strap | REI Co-op

ちなみにタイヤの空気圧は抜かずに預けていますが、パンクしたことはありません。

リアディレイラーを固定する

リアディレイラーが壁などにぶつかった場合、容易に歪み、変速に不具合が出る恐れがあります。
ですので、ぶつかってもリアディレイラーが変形しないよう、自転車のフレームに紐で固定してしまいます。

チェーンを縛る

リアディレイラーをフレームに固定するとチェーンが緩むので、これも紐で縛って、ある程度張るようにしています。

ペダルを外す

工具無しで簡単に外せるペダルを導入して、輪行時はペダルを外すことにしています。
ペダルを外すことで横方向の出っ張りが無くなり、ペダルがガンガンぶつけられなくなるので、ペダルの軸やベアリングにダメージがかからなくなります。
輪行して歩くときにも、身体にペダルが当たらなくなるので、良いことづくめでしたね。

参考リンク:
Ezy | 自転車ペダルの三ヶ島製作所

空港内の運搬方法

空港の外に手荷物カートがあるので、それに全部載せて運搬しています。

大型荷物預け入れカウンターに持っていく時も、手荷物カートに載せたままです。
受付待ちの列は進んで、止まってを繰り返すので、スムーズに運搬できた方が周囲に迷惑がかからないかなと思っています。

どうしても荷物がアンバランスな場合は、多少手で抑えたりもします。

エレベーターに乗せる時、ドアにつっかえたりすることもありますね。
そういう時は自力で別の階へ持っていき、その階のカートを使った方が、運搬がスムーズな場合もあります。

飛行機輪行する際の規制

輪行サイズ

航空機によって、荷物の最大サイズに規定があります。小さい航空機ですと、最大160 cmまでの荷物しか預けられません。

また、航空会社によって、荷物の三辺のサイズ合計に規定があります。
ANAの場合、3辺の合計が203 cmを超える荷物については預けられない可能性があります。

参考リンク:
手荷物[国内線]│航空券│ANA国内
JAL国内線 - お預けの手荷物
自転車は預けることはできますか。(JALのQ&A集より)

前輪だけ外すタイプの輪行袋だと、三辺のサイズを越してしまいそうだったので、前後輪外すタイプに落ち着いた記憶があります。
自分の自転車を折りたたんだサイズを、一度測ってみるのも良いかもしれません。

ちなみに、僕の乗っているKona Tonkのサイズは58 cmと通常より大きく、三辺のサイズを測られたことはあれど、預けるのを拒まれたことはありません(自転車のフレームにもサイズがあり、身長の高さなどで適正のあるサイズを選びます。サイズの呼称は、フレームのトップチューブの長さから取られていることが多いようです。)。

参考記事:
【輪行袋】SL-100を買った話
【自転車】Kona Tonk (2017)をお迎えしていたお話

預けられないもの

パンク修理剤

意外かもしれませんが、パンク修理剤は危険物に該当します。
預ける荷物の中に入れるのも、機内持ち込みも出来ないです。
なので、到着先でパンク修理剤を買い求めるか、もしもの際はパンク修理剤を使わずにチューブ交換で済ませるかの2択になると思います。

僕はパンクした場合に備えてチューブを2本ほど持っていきます。
しかし、タイヤにSchwalbe/Marathonを使ってからはパンクしたことが無いので、ただの重りになっています。

キャンプ用ガスボンベ

預ける荷物の中に入れるのも、機内持ち込みも出来ません。
キャンプ用ガスストーブを持っていく場合、現地調達する必要があります。
あらかじめ、到着先の空港の近くで調達できそうな店を探しておいたほうが無難です。
さもないと、旅の間ずっとガスストーブを使えなかった、ということが起こりえます。僕にはそういう経験が何度かありました。

ライター

預ける荷物の中には入れられません。ただし、機内持ち込みは1人1個まで可能です。
タバコは吸いませんが、キャンプ用ガスストーブの点火のために、1個は持ち歩くようにしています。

オイル式カイロ

預ける荷物の中に入れるのも、機内持ち込みも出来ません。
冬場に自転車旅をする機会は少ないですし、現地で使い捨てのカイロを購入してしまうので、持っていくことはありません。

リチウム式モバイルバッテリー

長い旅になると、電源の確保が難しい場合が多いです。
その時のために、リチウム式モバイルバッテリーを持っていくのですが、預ける荷物の中に入れられない場合があるようです。全て機内に持ち込む心づもりをしておいた方が良いです。

参考リンク:
機内持ち込み・お預かりに条件があるもの | ご旅行の準備 [国際線] | ANA | ご旅行の準備 [国際線] | ANA
制限のあるお手荷物(お手荷物) - JAL国際線

預けたほうが良いもの

自転車修理工具

工具類が機内持ち込み制限にかかる場合があります。
特に六角レンチには機内持ち込みにサイズ制限があるので、素直に預け荷物に入れたほうが保安検査場で面倒事を起こさなくて済みますね(2回ほどやらかしました)。

カメラ用三脚

折りたたんだ状態で60 cmを超えるものは機内持ち込み出来ません。

参考リンク:
機内持ち込み手荷物の注意点(三脚やライターなど) | ご旅行の準備 [国内線] | ANA

ナイフ

刃物に当たるので、言わずもがなです。

スムーズに預けるためにフレームから外した方が良いもの

自転車に付いているバッグ

自転車にサドルバッグ、フロントバッグ、チューブバッグなどが付いている場合、保安員さんに中身を見せるよう指示されます。
輪行した状態からバッグを取り外して、中身を見せて、また元に戻すのは面倒です。
僕はパニアバッグなどにバッグ類(サドルバッグ、フロントバッグ、チューブバッグ)を入れておいて、スムーズに保安検査できるようにしています。

ボトル

ボトルホルダーにボトルが付いていると、これも保安員さんに見せるよう指示される場合があります。
輪行した状態だと、ボトルホルダーの両脇に車輪が固定された状態です。
その状態からボトルを取り外すことの大変さといったら。大型連休だと、後ろに人がまだかまだかと並んでいますし、やらかした時の嫌な汗が出ます。
ボトルの中身は空にする、もしくはボトルホルダーからボトルを外したほうが楽です。
僕はボトルの中身をカラにして、パニアバッグに入れています。

最後に

飛行機輪行の方法を長々と書いてきました。
この方法を読んで、自転車人の皆さんが、飛行機輪行について具体的にイメージして、どういうやり方にアレンジするか判断するための材料になったら幸いです。

そして、どんどん飛行機輪行を利用して、日本のまだ見ぬ景色を見に行きましょう。
今日はこのへんで。ではではー。

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