【観光地】シャトー・メルシャン勝沼ワイナリーの見学に行ってきた

ワインの何を美味しいと思えば良いのかわからないレベルでも、ワインの美味しさと奥深さを理解できるツアーでした。

シャトー・メルシャン勝沼ワイナリー

山梨県甲州市勝沼。田んぼと見紛う限りのぶどう畑が盆地を覆い尽くし、ワインづくりが明治期から脈々と受け継がれてきた土地です。

6月にしては珍しくカラッと晴れ、青空が高く気持ちの良い休日に、コミック『mono』で登場した数々のワイン関連施設を徒歩で巡りました。
そして最後にやってきたのはシャトー・メルシャン勝沼ワイナリーでした。

ここ、シャトー・メルシャン勝沼ワイナリーでは、工場見学を通じて現代のワインづくりを目前に見られるのです。
事前予約や参加費も必要ですが、ワイナリーで長いことキャリアを積み、ワインづくりやテイスティングに熟練した方々に案内していただけます。
見学した時の僕は、ワインの何を美味しいと思えば良いのかわからないレベルでしたので、「知らない世界を知られるなら、お安いものだ。」と思い切って行ってみました。

参考リンク:
シャトー・メルシャン
ワイナリーへ行こう|行く見るふれる|シャトー・メルシャン

受付

徒歩旅のため、登山するような装備で来てしまいましたが、嫌な顔されずに通していただけました。
ロビーにはワインボトルとともに、数々のワインにまつわる賞が飾られていました。

暑い室外からクーラーの効いた室内に入った時の安堵感。
夏の自転車旅や徒歩旅でよく味わう、安心に似た感覚です。

地下セラー

地下セラーに入ると同時に、りんごに似たような発酵臭がふわっと香ってきました。
ここには、樽に入れて熟成中のワインが貯蔵されていました。

一言で「樽」と言っても、色々なサイズがあることを教えていただきました。
まず樽の製造メーカー。主にフランスから輸入されているそうですが、複数社のものを使用しているとのことでした。

次にサイズ。上の写真でも左と右の樽のサイズが違うことがおわかりですか。
サイズが違うと、ワインの容積あたりの樽内部と接する表面積が変わってきます。
赤ワインですと、白ワインよりも長いこと貯蔵して、樽の香りを付ける必要があります。ですので、小さい樽を使用した方が貯蔵期間を短くすることが出来ます。
逆に、白ワインはあまり樽の香りを付けないので、大きな樽を使用して貯蔵期間を短くする場合もあります。

3つ目が樽材の処理。
右の樽フタの下に、小さく「MT TH 3YR」と焼印が押されているのがわかりますか。左の樽フタの下には、小さく「MT+ TH 3YR」と焼印が押されています。それぞれの意味について見ていきましょう。

まず、原料となる木材を樽にする前に乾燥させる必要があります。通常、2年間乾燥されてから樽材になります。
3YRは3年間乾燥させてから樽材として使用されていることを示しています。

樽にする時、木の表面を火で炙って曲面にしながら整形していきます。その炙り具合をMT(ミディアムトースト)、MT+(ミディアムトーストプラス)などと表現しているのです。
軽い炙り具合からLT, LT+, LMT, MT, MT+, SHT, HT, QHT, AAの順にしっかりめの炙り具合へ推移していきます。他の区分としてNoisetteがあります。

THは樽のフタと底も炙られていることを示しています。


詳しくは以下の参考リンクからどうぞ。

参考リンク:
Sourcing, Sorting, Seasoning | Canton Cooperage(製樽メーカーの解説ページです)
Cooperage – Nadalié USA(製樽メーカーの解説ページです)
Les Blog » A French Oak Barrel Primer
Chira K, González-Centeno MR, Teissedre PL. Wine Ageing in Oak Barrel: Effect of Toasting Process. Agri Res & Tech: Open Access J. 2017; 12(3): 555847.

醸造所

野外には醸造所が設置されていました。

樽の奥に見える機械が圧搾機です。
2台設置してありますがわかりますか。
銀の胴体の圧搾機が、赤い足場で囲われています。

高台から圧搾機を見たところです。
圧搾機の中には、大きなバルーンが入っており、ブドウを機械に入れてから膨らませることで、果汁を絞り出す仕組みになっています。
この方式が一番渋みなどの出ない圧縮方法なんだそうです。

こちらが発酵タンク。
中にワイン果汁を入れて、発酵させるためのタンクです。
発酵具合に偏りが出ないように、少しずつタンクを回転させながら発酵させていきます。

Bセラー

巨大な貯蔵室に入った瞬間、ひんやりとした冷気を感じました。
ここでは発酵が終了したワインを貯蔵タンクに入れて保管します。
ワインの発酵を進行させないためにも、タンクの周りに張り巡らされた水道管(タンクジャケット)に冷水を流し、タンク内で温度差による対流を起こすことでワインを冷却しているのです。

ここで保管されているワインは、1タンクあたり14,713リットルもの量になります。
数字で言われてもピンとこない量ですよね。

すべてのタンクに同じワインが満たされているわけではありません。
それぞれのタンクに、産地や製造方法などの異なったワインが貯蔵されていました。
これは2018年の山梨県産ブドウ、甲州のように見受けられます。

他にも大小サイズの異なるタンクや、木材で作られた樽のようなタンク、様々な冷却装置がずらりと並んでいました。
見てきた内容が多くて説明しきれないので、この記事では紹介を控えます。

祝村ヴィンヤード

工場内から祝村ヴィンヤードへ徒歩で向かいます。
構内では自動車走行は時速10キロ制限です。安全第一。

公道の下をくぐり抜けて行きます。

ワインギャラリー

来たのはワインテイスティングカフェ・ショップでした。
ここではメルシャン製ワインのティスティングをしたり、お土産にボトルを持ち帰りできます。

ガーデン

まぁ、素敵なガーデンですこと。
晴れていれば、のどかな風景を眺めながら悠々とワインを味わえますよ。
泊りがけのデートスポットとしても、お洒落で良いんじゃないでしょうか。

ボルドウ神社

こちらはボルドウ神社。
何が祀られているのかというと、ブドウの樹を枯らす病原菌を除菌するためのボルドー液が祀られています。
要するに、除菌液が祀られているのです。驚きじゃないですか。

日本には八百万の神がいるとはいえ、こういう神も祀られてしまうのは日本らしいなぁ、と思ったのでした。
でもまぁ、ブドウの樹が大量に枯れていった当時、神にでもすがりたい気持ちでしたでしょうね。てきめんに効果のあったボルドー液は、神のような扱いを受けてもおかしい事では無かったのかもしれません。

祝村ヴィンヤード

 さて、本題の祝村ヴィンヤードです。
日本では、ブドウ畑の上に棚を設置して、そこにぶどうの蔓を絡ませ、収穫しやすいように栽培する方法が一般的です。
ここでは、日本の一般的な栽培方法とは異なり、欧米と同じ垣根のようにブドウを育てています。

これはブドウが実を結ぶ前の、果実に花がついた状態です。
かわいらしいですね。

同時期でも既に果実が大きくなってきている品種もありました。
収穫時期が異なるので、それに合わせてワインの仕込み時期も変わってきます。
また気候に合わせて収穫のタイミングを図らなければなりません。
理想としては、1日のうち数時間のうちにすべてのブドウを収穫できれば良いのだけれど、という話も聞きました。

今となってはこれらの写真に写っている葡萄の品種も忘れてしまいましたが、ワイン用のぶどう品種だけでも多く存在していることがわかっただけでも良しとしましょう。良しとしました。

テイスティング

さて、お待ちかね。ワインテイスティングの時間です。
解説員さんに色味や香り、味を解説していただきながら、白から赤まで計6種類のワインを味わいました。
味わいつつも、右手に見えるタブレットで、各ワインの原材料となったブドウの栽培されている様子や色味、香り、味、こだわりなどの情報を確認できます。

アルコールに弱い方でも大丈夫です。ワインを口の中で味わった後に、飲み込まずに紙コップへ戻せます。
ボトル入りの水も用意されています。

今回のティスティングで味わったボトルは左から順に以下のラインナップになります。
・甲州 きいろ香 キュヴェ・ウエノ
・甲州 グリ・ド・グリ
・北信 シャルドネ アンウッデッド
・北信 シャルドネRCC 千曲川左岸収穫
・穂坂 マスカット・ベーリーA
・椀子 メルロー

冒頭でも触れましたが、僕はワインの何を美味しいと思えば良いのかわからないレベルでした。
それでも、色味や香り、味について、ソムリエ達が使うような表現を教えてもらいながらティスティングすることで、ワインへの理解度が深まっていきました。

まずは色味。白ワインといっても、写真の左から1、2本目の色味は全然違います。
さらに、グラスを傾け、白地を背景にして眺めることで、同じ色味に見えていた赤ワインでも異なる系統の赤・紫色(もっというなら茶味のかかった色)であることがわかります。

次に香り。
例えば、写真右から2番めの穂坂マスカット・ベーリーAは「赤い果実を連想させる華やかなアロマを感じさせる」香りと表現されますが、その他にもオーク樽由来のバニラのような香りもほのかに併せ持っています。
香りは実際にかいでみないと説明が難しいです。ですが、それぞれの香りにどういう要素が混在しているのか、どうバランスを取っているのか解説してもらったことで、ワインを味わう際にどういう香りなのか嗅ぎ分けられるようになってきました。

最後に味。
白ワインでしたら甘口か辛口かの2つに分類されます。甘口が飲みやすいので、札幌に住んでいた頃はおたるワインのナイヤガラの香りと味を好んでいました。しかし、辛口白ワインにも、華やかで甘みを感じる香りと酸味があることを学べました。ワインを効かせた素朴な白身魚料理と合わせたら美味しいだろうなと感じました。
赤ワインが苦手だったのですが、その原因、舌が痺れるような要素はタンニン分だと教えていただきました。タンニン分の量もワインによって異なってきます。赤ワインでもタンニン分の少なく、ベリーのような爽やかな酸味が前面に出ているワインもあることを知ったのは大きな学びでしたね。特に、肉料理には赤ワインが合うので、低温調理で作った肉料理に合わせていきたいところです。

ワインティスティングの後、周辺のワインづくりに関連する博物館や、歴史的建造物を見てきましたが、それはまた別の話。
さて、今日はこのへんで。ではではー。

シャトー・メルシャン勝沼ワイナリーの位置

シャトー・メルシャン勝沼ワイナリーの基本情報

ビジターセンター

開館時間:9:30〜16:30
予約  :0553-44-1011

ワイナリーツアーは予約・参加費が必要です。
また、スタンダードコースとプレミアムコースがあります。
今回僕が参加したのはプレミアムコースでした。

ティスティングカフェ・ショップ

営業時間:10:00〜16:30

参考リンク:

シャトー・メルシャン勝沼ワイナリーの周辺情報



シャトー・メルシャン勝沼ワイナリーは山梨県甲州市にあるワイナリーです。
コミック『mono』でも登場した勝沼ぶどうの丘やぶどうの丘温泉 天空の湯、葡萄工房ワイングラス館、中央本線トンネルワインカーヴがあります。
周辺にはワイン醸造所が多くあり、見学可能なワイナリーもありますので、お時間の許す限りワインを楽しんではいかがでしょうか。

記事の中で紹介したワイン

ティスティングした中で、一番飲みやすくて、華やかな香りが好みの一本でしたね。


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