川崎重工創立120周年記念展に行ってきた

主に三式戦闘機 飛燕を見に行ったのでした。(2016/10/22に拝観しました)


はじめに

川崎重工創立120周年記念展は、川崎重工(川崎重工業株式会社)の120周年を祝して、神戸で開催された展示会です。
第二次世界大戦期に川崎重工が開発・製造した三式戦闘機 飛燕。その実物が修復され、展示されると聞き、レシプロ機(プロペラ機)好きの僕は新幹線に飛び乗っていました。
また、当時新たに発売された大型バイク、Ninja H2Rも気になっていたので、実物をついでに見たのでした。

参考リンク:

3年前のことをなぜ、今更記事にするのかと疑問に思われるかもしれませんが、先程公開した記事を書きながら、この時の事を思い出し「そういえば記事にしていなかったなぁ。せめて写真だけでも公開したいなぁ。」という気になったからです。
記事になっていない過去の経験は多くあるので、これから継続的に記事に出来たらなと思いますね……やる気が出た時に……。

ブログ記事:

川崎重工創立120周年記念展

開催会場 神戸ポートターミナル・大ホール

新幹線で新神戸駅に到着しました。

ホームから改札へ向かう階段にて。
川崎重工の広告があるのは、さすが川崎重工のお膝元、神戸と言ったところです。

新神戸駅からJR三宮駅へ、三宮駅からポートアイランド線に乗り継ぎ、会場となる神戸ポートターミナルに到着しました。

午前11時。会場内は大勢の人がいる気配がします。

三式戦闘機 飛燕

機体

下宿から数時間かけて、ようやく対面した飛燕。
「やはりレシプロ機の曲線美は良いなぁ……。」と再認識した瞬間でした。
拝観客が大勢いる中で、じっくり機体を眺めるために2階に上ります。

零式艦上戦闘機とは異なり、流線型の先端部が美しいですね……。すき……。

先端から船尾に至るまでの流線型が、魚のような造形の曲線美を思い起こさせてすき……。すき……。
以降、ほぼ写真だけになりますが、ご興味あれば御覧ください。
(記事というよりは写真資料集になっています。)

 













お昼時が近づいたのか、人が減ってきたので1階に移動して機体をじっくり眺めます。























修復プロジェクト

飛燕の機体を長時間なめるように眺め、ようやく興奮が落ち着いてき、展示パネルを読む余裕が出てきました。
このパネルを要約すると以下のようになります。
  1. 飛燕6117号機(展示されている飛燕)は現存する機体の中で、最もオリジナルの部品を残した機体
  2. 第二次世界大戦までに修理・改装された部品は残して、大戦後に追加された部品や塗装は除去
  3. 欠損部品については、当時に近い形の部品を補うことで、我々現代人が当時の姿を偲べるようにした(ただし極力オリジナルの保存に負担をかけないようにした)

復元していった部品もリスト化されていました。

1. 計量器
2. 水・滑油冷却器(熱交換器)
3. 発電機上部(エンジン上部カバー)
4. 風防ガラス・アクリル交換
5. 過給器
その他:配電盤(操作席前方右下)、紫外線操作パネル(前方風防右内側)、頭当・上部防弾板、塗装及びパテ剥離、着陸灯、編隊灯、翼端灯、尾灯、空中線欠損、ピトー管、下部防弾板/取付機構、下部翌胴フェアリング、エルロンヒンジカバー欠損、燃料冷却器欠損、排気管整流器欠損、構造健全性確認

プロジェクトのタイムラインを見て驚いたのは、このプロジェクトがほぼ1年で終了したことです。もともと飛燕が展示されていた知覧特攻平和会館から搬入された2015年9月から、2016年9月には修復・再塗装が終わっています。
さらに、プロジェクトに関わったのは違う部署の人々で、通常業務の合間にプロジェクトを進めたというから驚きです。
「通常業務では知り得なかった人々が協力するためにどういう連絡体系を取ったんだろう」「通常業務の合間にやるだけの原動力はどこからきたんだろう」「細かいタイムラインの設定はどうしたんだろう」「足りないと思われる時間内で、間に合わせるためにどういう設計・製造をしたのだろう」などなど、プロジェクトマネジメントの面で疑問に思うことは沢山あります。もし、このプロジェクトに関わった人に話を聞けるなら、そういった疑問を晴らしたいものです。

1. 計量器

こちらが復元された計器盤の全体写真になります。

飛燕が知覧特攻平和会館から運び込まれた時には、計器盤は米軍の地上訓練用に置き換えられていたようです。
そのため、計器盤に組み付けられているのは、協力者からの譲渡やネットオークションで入手した実物、取材を通して作成されたレプリカになります。

計器盤中央です。
高度計、速度計など、機体運動に関係のある計器が並んでいます。
漢字が使われている古い計器は、骨董品の時計をような美しさがありますね。

計器盤中央の下部をズームしたところです。
水温計と滑温計は左右に分離しているためか、指示針が同じ計器に2つ付いています。

計器盤左側です。
エンジン系の計器でしょうか……。

計器盤の右側です。
こちらの計器は、もはや機械系には詳しくないので、何の用途なのかわかりません。

2. 水・滑油冷却器(熱交換器)

機体の下に実装されている熱交換器(ラジエーター/オイルクーラー)です。
空冷エンジンの主流だった第二次世界大戦期、飛燕は日本で唯一液冷エンジンを搭載した機体でした。

ハニカム(正六角形)構造をした管内を空気が通り、エンジンを冷却するための水が管と管の隙間を通ります。

詳細はこちらの解説板と参考リンクを御覧ください(説明放棄)。

参考リンク:

この機体下部に熱交換器が実装されます。

こちらは燃料冷却器です。こちらにもハニカム構造が採用されています。

3. 発動機覆上部(エンジン上部カバー)

黒いエンジン上部カバー は複製品になります。

なんやかんや(3次元形状計測とCADへの取り込み、図面・写真・マニュアルを参考にしたデジタルモックアップ、各種解析)して、正確な形状と構造を再現したようです。

ただ覆われているように見えていたエンジン上部カバーにも、そこまでの手がかかっていたのですね。

4. 風防ガラス・アクリル交換

こちらの風防ガラスやアクリルパネルも復元品になります。

航空機用の最新工作機械を使用できなかったため、曲面パネルの取付けはかなり難航したようです。
製造技術の粋が無ければ、設計に沿った機体が出来なかったのですね。
量産には向いてないですね……(どうしても製造者視点でモノを見てしまう)。

5. 過給器

飛燕に組み付けられていた過給器を分解した展示になります。

表面の黄色い塗装は剥げていますね。古いバイクのエンジン外装みたいな質感になっています。


そもそも過給器とは、空気が薄い高高度でエンジンに濃い空気を送り込むための装置です。
エンジン内で燃料を燃焼させ、プロペラを回し続けるためには酸素が必要になります。しかし、高高度では酸素が薄いので、エンジンに意図的に空気を送り込まないと、満足に燃焼させることが出来ないのです。

そして、こちらが復元された過給器になります。

エンジン

そうして最後、エンジンの展示です。

鏡が設置されていたので、エンジン下部を覗き見ることが出来ました。

もはや何も言うまい(複雑過ぎて構造を理解できていません)。

エンジン背部です。

エンジン背部側にも鏡が設置されており、下側を覗けるようになっていました。
見る人が見たら感心するんだろうなぁ……。

以降、エンジンの細部写真になります。





以上が飛燕の写真になります。
多くの写真を眺めていただきありがとうございました。

Ninja H2R

Ninja H2Rは飛燕の右翼近くに展示されていました。

何で、飛燕とNinja H2Rが同会場に展示されているのかというと、Ninja H2Rに搭載されている過給器が、飛燕の過給器の技術を受け継いだものだったからです。

あくまで僕の意見ですが、戦闘機とバイクの取り合わせはよく合いますね。
古い映画になりますけど、TOP GUNで主人公の戦闘機乗りがバイクに乗って、離陸する戦闘機と並走するシーンなどは、かなり画になっていましたし。
(わからない人は1950〜1960年代生まれの人に聞いてみましょう。)

おわりに

川崎重工創立120周年記念展の様子を写真メインでお届けしました。
飛燕やNinja H2Rの様子が詳細に伝わりましたでしょうか。
実はこちらの飛燕、岐阜かかみがはら航空宇宙博物館にて常設展示されています。
より分解されて、中身がわかりやすい形になっていますので、気になった方はご覧になってはいかがでしょうか。

参考リンク:

岐阜かかみがはら航空宇宙博物館

基本情報

開館時間:10:00〜17:00(休日は18:00まで、最終入館は閉館の30分前)
拝観料:大人 :800円
    高校生:500円
住所:岐阜県各務原市下切町5丁目1番地
電話:058-386-8500
ウェブサイト:【空宙博】岐阜かかみがはら航空宇宙博物館公式ウェブサイト

周辺地図



おまけ

 過給器搭載のバイクということで、カワサキ 750ターボが展示されていました。

1984年に発売されたバイクということで、その当時流行った造形をしているように思います。
1984年って僕の生まれるだいぶ前に発売されてたんか……。

こちらはNinja H2です。

すごくピカピカしていてバイク乗りの自己顕示欲をくすぐられるバイクですね。

さて、今日のところはこれでおしまい。
ではではー。



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